早い過払い金|(4)不当利得返還請求権の消滅時効  被告の主張・ 原告らが本訴において主張する被告に対する不当利得返還請求権の うち,平成16年11月12日の提訴から10年以上前に発生した不 当利得返還請求権は,本訴提起前に時効期間が経過している。

過払い金を援用する。原告らである。


状態になった後も,そのことを知りながら原告らに 対してなお債務が残っているとして長期間支払を請求し続けてきた ことからすると,消滅時効の完成は,大部分が被告の対応によりも たらされたものである。
このような対応をした被告が,原告らの過 払金返還請求権の消滅時効を援用することは,信義則に反し許され ない。
(5)不法行為の成否 原告らの主張 ア 前記第2,1,(5)ないし(7)記載のとお・り,被告は,亀井弁護士の 取引履歴開示要求に対し,明らかに取引履歴を取引の途中からの部 分の限定して開示し,また,原告については本訴提起時までに全部の取引履歴を開示しなかった。
被告は,あわよくば不正確な取 引履歴を基礎にして過払金発生の事実を隠蔽し,過払金の返還の全 部又は一部を免れようとの不当な目的でこのような対応をしたもの であり,これが原告らに対する不法行為に当たることは明らかであ る。
イ 被告は,原告らにつき過払の事実を知っていたか,容易に知り得 た。
このような場合,被告は,原告らに対し,そのことを告げる義 務を負う。
この義務に違反して漫然と取立,受領を続けることは不 法行為に当たる。
まして,10年又はそれ以上も継続し,100万 円を超える過払金が生じているのを秘し,無知な市民である原告ら一 に金員を支払わせてきたのは,単なる取引行為の域を超えて,不作 為による欺岡行為に基づく詐欺又はこれに準ずる不法行為に該当す る。
原告らは,被告の前記不法行為のため,長年,被告に対する返済 名目の資金捻出に汲々とする日々を送ってきた。
そのため,ゆとり を持った暮らしをしていく権利が侵害され続けてきた。
このような 精神的損害は,被告が不当利得金に利息を付して返還するだけでは 回復できない。
 被告の主張 ア 前記,アの主張は争う。
イ 前記,イの主張は争う。
被告は,前記のとおり,みなし弁済が成立す畠ような態様で取引 をしてきたから,過払金を返還しなければならないような状況にあ ることを知っていたはずがない。
原告らの主張する被告の「義務」及び原告らの被侵害利益としての「権利」は,いずれも内容が不明 確で,法的な根拠を欠くものである。
第3 当裁判所の判断 1 みなし弁済の成否 被告が原告らから受領した金員につき,貸金業規制法43条所定のいわ ゆるみなし弁済の要件が充たされていたとは認められない。
その理由は次 のとおりである。
(1)乙16,17号証,19,20号証,34,35号証,36ないし3 9号証の各1・2,44,45号証及び弁論の全趣旨によれば,被告は, 少なくとも平成3年ころ以降,一般に,新規顧客と取引を開始する際に 基本契約書(極度借入基本契約書)を作成した上,個別の貸付の都度, 「ATM領収書兼ご利用明細書」又は丁領収書兼ご利用明細書」を発行 交付していること,また,被告が借入利率を変更する際などにも,新た な基本契約書を顧客に作成させること,これらの基本契約書及び個別貸 付の際に発行される書面の各記載内容を併せると,貸金業規制法17条 1項所定の要件を充たすものとなることが窺える。
しかし,平成3年ころより以前において,同様に,貸金業規制法17 条1項所定の要件を充たす書面が発行されていたか否かについては,被 告は,発行した書面の具体的様式及び記載事項等につき主張,立証しな いから不明というはかない。


連帯保証契約の効力について

ア. 被控訴人らは,本件連帯保証契約は,@ 心裡留保,通謀虚偽表示,錯誤により無効である,A 詐欺により取り消す,B 公序良俗違反により無効である,C 条件が成就していないから効力が発生しないなどと主張する。
イ. しかし,被控訴人らが,cのその後の行状次第では,同人の横領行為による控訴人の損害額をcと連帯して支払わなければならないことを理解した上で,本件確約書に署名等したものであることは明らかであるから,上記@及びAの主張はいずれも採用することができない。
ウ. 上記Cについても,cの置き手紙の内容からして,cが再び横領をしたことは明白である。また,控訴人が主張するところではないが,cが無断欠勤を3日間以上継続したことも,同人が所在不明となり,連絡が取れなくなったことも明らかである。
この点につき,被控訴人らは,控訴人において,cが再び横領したものと根拠もなく決め付けて追及したために,cが出て行ったのであり,これは控訴人が故意に条件を成就させたことになるから条件不成就とみなされる旨主張するが,同主張は,cが再び横領していないことを前提とする点において失当というべきである。

したがって,被告が,原告らとの取引開始時から,原告らに対し,1 7条書面を発行交付していたと認めることはできない。
(2) 乙19,20号証及び弁論の全趣旨によれば,被告は,ある時期以 降,一般に,店頭で支払をするかATMで支払をした顧客に対し,貸金業規制法18条1項所定の事項の記載のある「領収書兼ご利用明細 書」又は「ATM領収書兼ご利用明細書」を発行交付していることが 認められるが,原告らとの各取引開始時点から,18条書面を発行し ていたことを認めるに足りる証拠はない(なお,乙30号証によれば, 被告は,平成元年からATMで支払をした顧客に対し,明細票を発行 していたことが窺えるが,その具体的記載事項は不明である。
)。
 甲32,33号証,乙2,3号証,5,6号証及び弁論の全趣旨に よれば,一般に,被告の顧客が借入金の返済名下に被告に金員を支払 う場合,店頭での直接払い,ATMによる,銀行振込の各方法 があること,銀行振込の場合,被告は,顧客に対して領収証等を送付 していなかったこと,原告らは,いずれも銀行振込による支払をした ことがあること(ただし,原告lま1回のみ),以上の事実が認め られる。
 前記のとおり,被告が,原告らとの各取引開始時点から返済を受け る都度18条書面を発行していたことは確認できないし,少なくとも, 銀行振込による支払分については18条書面を発行していない。
した がって,原告らのしたすべての支払につきみなし弁済を適用すること はできないことは明らかである。
なお,被告は,原告が,直接受 け取れない場合は,予め被告の店頭に受取に出向く日を指定するか, 書面により郵送先を指定する旨約束していたが,原告は,領収書 の発行を求めなかったと主張するが,被告が原告から徴求した何 らかの書面に被告のいう約束文言があるとしても,現実に18条書面 を交付していない以上,みなし弁済を適用することはできない。
また,18条書面の要件を充たすには,利息,賠償額の予定に基づく賠償金又は元本への充当額(貸金業規制法18条1項4号)及び残 存債務の額(同法同条同項6号,貸金業の規制等に関する法律施行規 則15条1項5号)を書面に記載することを要するが,もとより,こ こに記載する金額は正確なものでなくてはならない。
しかし,弁論の 全趣旨によれば,被告は,以前から,常に,すべての返済につき,み なし弁済が適用されるものとして充当計算をし,その結界算出された 当該返済時点での残高を前提とした前記充当額等を顧客に発行する 「領収書兼ご利用明細書」等に記載していることが認められる。
そう すると,みなし弁済の要件を充たさない弁済が一度でもあると,それ 以降に発行される「領収書兼ご利用明細書」等の前記各記載事項の金 額はすべて不正確なものとなる。
したがって,少なくとも,原告らが 最初に銀行振込をした後に被告が発行した「領収書兼ご利用明細書」 等の前記各記革事項の金額はすべて不正確であり,それ以前の分につ いても,前記のとおり17条書面及び18条書面が確実に原告らに発 行交付された取引を確定できないから,結局,原告らが返済名下にし た金員の支払のうち,みなし弁済を適用できるものを特定することも できない。
なお,乙26号証によれば,被告のATMにより返済する場合,平 成15年8月ころ以降は,現金投入前に,画面に借入残高,利息,遅 延利息等が表示され,顧客はそれを見た上で入金額を決定して投入す ることができることが認められるが,それ以前において,現金投入前 に同様の画面表示がなされたことを認めるべき証拠はない。
むしろ, 被告がこれを証する証拠を提出していないことからすると,以前は, この画面表示はなされていなかったと推測され,この場合,顧客は,利息,損害金及び元金への充当額を確認しないまま現金を投入するこ とになるから,利息又は損害金支払の認識があるといえないので,貸 金業規制法43条1項,3項にいう「任意の利息支払」に当たらない。
(3)したがって,原告らが,被告に対してした返済名下の金員の支払は, すべてみなし弁済の要件を充たすと認めることができない。
なお,被告 は,原告との取引は,昭和59年6月11日成立の本件基本契約1 に基づくものと平成10年8月11日成立の同基本契約2に基づくもの の2ロがある旨主張するが,後記のとおり,弁済金の充当計算上は,一 連の取引として扱うのが相当であるから,みなし弁済の成否との関係で, 本件基本契約2に基づく取引を独立した取引として扱うことはできない。
原告の充当計算方法 (1)被告は,原告との取引は,昭和59年6月11日成立の本件基本 契約1に基づくものと平成10年8月11日成立の同基本契約2に基づ くものの2口があり,両取引は,別個に充当計算されるべきである旨主 張する。
乙1号証の1・2,2,3号証,15号証の43・48・56・63, 23,24号証及び弁論の全趣旨によれば,前記第2,2,(2),,ア, イの各事実が認められる。
したがって,原告については,平成10 年8月11日以降,形式的には,2つの契約番号により区別される2口 の取引が併存したことになる。
(2) しかしながら,同一の貸主及び借主との間で基本契約に基づき個別 の貸付と返済が繰り返される継続的消費貸借契約関係が存在する場合, ある時期から形式上2つの基本契約が併存するようになったときは, 借主は,借入総額の減少を望み,複雑な権利関係が発生することをできる限り避けたいと望むのが通常と考えられる。


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原告らのように,過払金発生後,借入と返済が繰り返された場合, 新たな貸付の都度,過払金返還請求権に対する弁済がなされたもの と解されるので,その都度,債務の承認がなされ,消滅時効は中断 している。したがって,消滅時効の起算点は,最後の貸付の日とな る。 ウ 原告らの過払金請求権は,原告らと被告との一連不可分の包括的 消費貸借取引全体から生じた過払金の請求権であるから,消滅時効 は,原告らと被告との取引終了時から起算すべきものと解される。